秋田市でエベレスティングを達成した話 ― 実走編
エベレスティングとは:自転車やランニングで一つの坂を往復し、エベレストの標高8848mを越える過酷なチャレンジのことを言います。
秋田市大森山でエベレスティングを達成しましたので、いつか大森山でエベレスティングチャレンジする人のために、レポートを記そうと思います。
以前の記事(準備編)はコチラ
今回は実走レポートになります。長い記事ですので、時間のある時にどうぞ。
始まりの朝、10月29日
この日は普通に寝て普通に起きました。別に何も変わらない普通の朝です。昨日の夜は飯をいっぱい食べて、睡眠改善薬を服用して眠りにつきました。ぐっすり寝たってわけでもなく普通に寝ました。あー。ついにこの朝がやってきたかー。
空は晴れていますが夜の間に雨が降っていたので乾ききれず路面はウェット。ちょっと肌寒いけど動くと暑くなる、普通の秋の気候です。
前日に準備した大量の補給食、防寒着や衣類、工具や予備部品を詰めた重いリュックを背負って自走で大森山に向かいます。できるだけ消耗しないようにゆっくり行きました。世の中は通勤の時間帯、ガタガタの歩道をゆっくり行くと案外時間がかかるもんです。あ~。こんな重いリュック背負ってたらそれだけで消耗するんじゃねーのかな~。
クソ重いリュックを背負って大森山を一本登ります。昨日作ったセグメントが機能しているかチェックし、一本登ったらログを切ります。セグメント、機能してませんでしたね。ちょっとルートがズレてるから機能してないんだろうか。現地でセグメントを短く修正しました。
いってみようエベレスティングチャレンジ
まあ、淡々と登るだけです。別に何も無い。
いや~1本登ってから気づいたんですが、僕走行距離を計算するとき「ストラバのセグメント基準で登坂1.92(km)×117回=224.6(km)」って計算してたんですよ。でもこれ、下りの距離を入れて計算するの忘れてました。なーんだ225kmかよ秋田→新潟より近ぇじゃんって思ってたら実は距離二倍で、概算で450kmぐらい走らなきゃいけないことが判明しました。え…ヤバ(笑)。まあやってみるか。なんとかなるっしょ(笑)。
途中、知り合いの自転車乗りの方がサイクリングしに来てくれて、一緒に登りました。応援がてら、補給食も頂きました。ありがとうございます。
ずっと登り続けるライドってしたこと無いので、どういうペースで登ればいいのか最初は分かりませんでした。とりあえず消耗しないように、ゆ~~~~~~~っくり登ってました。
そしたらですね、全然距離が捗らないんですよね。全然疲れないんですけど進捗が遅すぎました。そう気づいてからは、いつのもペースで登ることにしました。だいぶ速くなります。後から思いましたが、ここまで温存とかしないで自分のペースで登り続ければまだまだタイム縮みましたね。
トラブル:リア変速機の動きが悪い
夜になって、リア変速の動きが渋くなりだしました。あ、これって…
思った通り。変速ワイヤーがSTIレバーの中でほつれています。
これは以前恐山を登った時と同じトラブルです。これのおかげで前回は、リア変速が使えず変速一枚で恐山を登り、大間崎を回り100km以上走る羽目になったのでした。
う~ん。あれから、同じトラブルが起きたときのためにワイヤー交換の方法を軽く教えてもらってはいましたし、予備のインナーワイヤーも持ち歩くようにしました。ですから大体の構造や仕組みは分かるんですが、自分で交換したこと自体はありません。できっかな~~~…でもやるしかないよなぁ…
やったぁぁあああああああああああ直ったぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
はい。直りました。直せました!!!!教えてくださったかずやさん、本当にありがとうございます!!!!!やった!!!!!!これでまた走れる!!!!!!!
かずやさん カテゴリーの記事一覧 - TickTackBonkの部屋
これでチャレンジ終了だったかもしれないのに、まだ走れるようになったんですからブチ上がりました。バイブスカチ上げ。これもう達成できるやろ。俄然元気も出てきます。夜練と、元気づけに来てくれた激速サイクリストの知り合いの方とも楽しく話しながら登りました(俺のペースに合わせて余裕そうだったなぁ)。
夜更けになって、友達が集団で来てくれました。激アツ。
彼らが帰った後、りゅうとくんが自走で来てくれました。いっちゃん眠いAM2:00~の時間帯に何本か付き合ってくれて、話しながら登りました。アホ眠かったからまじで助かった。ほんとにありがとう。
りゅうと カテゴリーの記事一覧 - TickTackBonkの部屋
なげぇ…やっとハーフか…。
ここからが一番ツラいときでした。とにかく眠いし寒い。死ぬ。ローソン新屋日吉町店はイートインが無いので暖かい店内でごはん食べたり休んだりできません。気温五度なので寝る場所無いんですよねぇ。必然と寝れません。寝ないんだけどさ。クソ寒い中で食った焼きそばUFOうまかったなぁ…。
寒い中の登り下りの大変さは、十和田湖で経験しています。登りは大量に発汗し、体温も上がるのですが下りはほとんど体を動かさず、寒風を身に浴びせ、自分のかいた汗が蒸発せずに汗冷えします。なおのことエベレスティングでは、登って下ってを幾度となく繰り返すチャレンジ。走っている分には良いのですが、休憩した途端に体が一気に冷えます。
当然エネルギー補給は必要です。でもそのために休むとやばいんですよねー。寒くて眠くて死にそうでした。でも今回はミレーのドライナミックインナーとゴアテックジャケットを身にまとっていますから、十和田湖のときよりは遥かに快適でした。
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まず、登りの頂上で休まないようにしました。頂上で休んで体温を下げてしまうと下りで死にますが下で休めば登りで体温上がるだろうと思ってのことです。ほんとにねむい。
登り続けるしか無いので、登ります。休んでいても達成できないので。ちくしょう。
真っ暗な中、一人で登っていました。前見ても暗いし、景色も変わらないし、つらいので下向いて登ってました。そしたら、急に「おはようございます」と声をかけられました。「あ、おはようございます~」なんて反射で返しましたけど、あれ?人がいる??そう思って時刻を見るとAM4時。4時です。大森山に散歩に来ている方が挨拶してくださったのでしょう。お!朝なのか!朝がやってきたのか!!!俺は夜を越したのか!夜から逃げ切ったか!!!!!!やった!!!!!朝じゃん!!!!はは!!!!
つらい二日目、10月30日
朝4時ごろに散歩に来る人達ってなんか謎の連帯感がありますね。みんなしっかり挨拶してくれます。朝のいっちばん早い人たちだっていう謎の自覚や連帯感があるんですね。みなさんおはようございます。まあ僕にとっては朝ではないんですが(笑)。しかし、夜の間は全然捗らなかったなぁ。速度落ちてた。これから気温が上がれば、体の調子も戻ってくるでしょう。今までもそういう経験何度かありましたしね。
いやー徹夜に成功したかぁ。でもまだまだ登らなきゃいけないんだけどね。
このときツイッターで小耳に挟んだんですが、なんか夕方から磁気嵐だか何だかでGPSが使えなくなるという話が。もしそうなったら、詰みだな。GPSログで認定してもらうのにGPS使えなくなったら、認定できませんよね。こりゃ死ぬにも死にきれねえぞ。
二日目もたくさんの人が応援しにきてくれました。昨日も来てくれた和田っち。車で大地も来てくれたし、クラスメイトも。
いや~二回目の日没は見たくねえよな。がんばろー。
はい二回目の日没を見る羽目になりました。ざんねん。
僕が仲良くして頂いてる由利本荘市鳥海のチーム、マルヒロサケテンの人が、わざわざ由利本荘から応援しにきてくれました。ランニングで大森山何回か登ってたんですけど、ランが力強すぎて笑いましたね。和田っちは自転車なのに、ランの人に押してもらってるしさ。おいおい。「胃腸が疲れてるから、甘酒でも飲んでいたわってけれ」と、おいしい甘酒も頂いちゃいました。甘酒とか激アツすぎないか。
かずやさんも寒い中わざわざ駆けつけてくれました。一度ワイヤーの切れたリアディレイラーを見ていただきました。恵まれてるなぁおれ。サイクルショップタカハシの店長、さとるさんも車で応援しに来てくれました。ほんとにもう、わざわざどうもです。
獲得標高8901m、エベレスティング達成
もう達成まであと5本とか、それぐらいになってくると木だとか看板だとかが人に見えてくる幻覚がちょっと見えていました。沿道の人にぶつからないように意識していたからでしょうかね。でもよく見ると違うって分かるレベルだったのでまだマシなんだと思います。
獲得標高8848mに到達し、大森山の頂上まで登ります(一度登ったら一番上まで登らないといけないルールがあります)。最終的な獲得標高は8901mになりました。これにて、エベレスティングチャレンジ、達成です。
★Ride info★
登坂高度(獲得標高)8901m
走行距離459.05km
経過時間35時間48分
走行時間27時間13分
消費カロリー9046kcal
ラップ回数(登坂回数)116回
睡眠時間0分
最低気温5℃
ルート:ローソン秋田新屋日吉町店〜大森山ピーク
認定とその後
数日後、オーストラリアのHELLS 500から正式に僕のエベレスティングが認定されました。同時に、HALL OF FAME(殿堂入り)のページにアクティビティと名前も載りました。秋田県内で達成したのは二人目になります。秋田市内で達成できたのが良かったなぁ。アイアムエベレスター!
大森山には途中、ロータリー気味の交差点があって、もしこれが「登りと下りで同じルートを使用する」というルールに反するなら認定はもらえないかなと思っていましたが無事認定されましたね。よかった。
GPSログをズームするキモいことになっています。高度グラフもノコギリになっていますね。こうやって見ると高度グラフが微妙に一日の気圧の変化を反映しているのが見えますね(高度計は気圧式なので)。もちろん、ストラバのローカルレジェンドは僕のものになりました。
またこれにより、エベレスターのみに買う権利が与えられるジャージがアンロックされました。買うしかないっしょ。
エベレスティング クルージャージ(カスタム)
エベレスティングジャージは、カラーオーダーができます。アップチャージすれば制限文字数以内ではありますが好きな文字も入れられますし、ポケット脇のリフレクターの有無、袖や丈の長さもカスタムできます。目立つように赤でロゴやマークをまとめました。
なぜか後ろポケットの内側にも文字を入れることができます。デフォルトで"Keeper of cloud"(雲の守り人)です。写真にも撮りずらいのでカスタム画面の写真を貼りましたが、こんなところの文字誰か見るのかね?自分の心の誇りみたいな?
エベレスティング フィニッシャーズジレ
防風素材のジレ。普通に洗えるみたいです。これもカラーラスタムできます。この場合はスプラッシュ模様の色を四色と、ベースカラー、ロゴマーク、袖や襟内側の色など。
ポケットはありません。両側の後ろが少し通気素材になっています。ジャージやジレ等スポーツウェア系はスイスのクオーレ社製のようです。
8848 foodie
なんのことは無いただのパーカーです。なんか裏起毛みたいになっててしっかりした生地でできています。これはカラーオーダーでは無く三色から選ぶ感じでした。結構エベレスティングストアの製品って新しいのが出てきたり無くなったりしますが、今見てきたらこれももう見当たりませんでした。買ってよかった。
目隠しに使っている紙ですが、ジャージと一緒についてきた紙です。すげー褒めてくれてるのは分かるんですが、褒め方がいかんせん中二病。「サイレントアサシン(静かな暗殺者)、シルバーバレット(銀の弾丸)」て、おまえ…まあ、これがオーストラリア風の褒め方なのかもしれない。
(意訳)" あなたは静かな暗殺者であり、洗練された殺人者であり、銀の弾丸です。あなたの肩に誇らしげに飾られた雲は、濡れて痛々しい冬の道、道なき道を象徴しているのです。あなたは、クルーだ。"
僕が買ったのは以上3点でした。ログインすればまた注文できるみたいですので、ビブショーツなんかもまた買っても良いなと思います。ジレもジャージも、カラーオーダーできますしね。
これらは常日頃私を支援して頂いている川瀬さんからの、またまた強力な支援を受けて購入できたものでもあります。重ね重ねになりますが、お礼申し上げます。川瀬さんには、私の絵も描いていただきました。大切に飾っております。
僕の友達や、かずやさんや、川瀬さんだけでなく、この記事に書いていないたくさんの方々の支援や応援の下、私はエベレスティングを達成できたわけであります。みなさま、本当にありがとうございました。
終劇
この数日後、僕に感化されたとか何だか分かりませんが僕の友達(@one third BLUE-)がエベレスティング10Kという、獲得標高10000mのより過酷なライドを達成しやがりました。更に特定の条件の時間以内にクリアしたのでEveresting ROAMとかいう称号も得たそう。な、なにぃ…越されただと…
one-third-blue.hatenablog.com (彼は全くブログを更新しませんけど…)
それに、なーんかエベレスティング10Kのジャージの方がかっこいい気がするんですよねー。
…うーん。これ、ほしいなぁ~…………。じゃぁ、どうする?????
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