秋田市でエベレスティングを達成した話 ― 準備編
エベレスティングとは:自転車やランニングで一つの坂を往復し、エベレストの標高8848mを越える過酷なチャレンジのことを言います。
こんにちは。毎度お世話様です。ブログ記事の最初の投稿をしたのが2022.1.26で、約二か月。やっとのことで、一番書きたかったエベレスティングの記事までたどり着きました。多分今までで一番過酷だったサイクリングはこのエベレスティングです。長いので準備編と実走編で二記事に分けて書きますので、準備がどうでも良い方は実走編に飛んでください。読んでくれるとめっちゃ喜びますが。
エベレスティングをやることになった経緯
エベレスティングは、ハードなサイクリングをする層の間では結構有名だったと思います。私はもともとツイッター経由で知りましたが、NHKで放送しているチャリダーでも放送されたことで知っている人も増えたのではないでしょうか。これ、できるんじゃね?って思ったのが始まりですよね。
★そもそもエベレスティングとは?★
エベレスティングのルールはいたってシンプルです。一つの登りを選び、その登りを何度も往復して8848m登るだけです。ルートは単一の登りとし、一度登り出したら頂上まで行くこと。周回ルートは取れません。タイムリミットはありませんが、チャレンジ中は睡眠を取ることはできません。つまり、休憩はいくらとってもいいけど寝ちゃダメってことですね。多くの場合、24時間程度かかると言われています。
これらのチャレンジは、高度計付きのGPSトラッカーによって得たログをオーストラリアのHELLS 500に提出し、認定を受けます。そうして認定されれば達成ということですね。
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まぁ、提出するのはGPSログだけなので向こう(HELLS 500)では寝たかどうかの判定はできないでしょうですし、これは完全に自己満足のチャレンジです。バカがやることです。でも、達成した暁には https://everesting.cc/ でHALL OF FAME(殿堂入り)のページに名前とアクティビティが残ります。そして超かっこいいエベレスティングジャージを買う権利が与えられます(お金は自分で出す)。
じゃあ、や…やる??????
もともと、エベレスティングは僕達成できるんじゃないかとはなんとなく思っていました。でも全然やりませんでした。本当は1年ほど前から構想はしていたんですが、2021年は僕試験勉強のために自転車に全然乗ってなかったんですよね。
それで、うまくその試験に受かって2022年度からは秋田を出て勉学の道に励むことに決まりました(みなさん本当にありがとうございます)。秋田を出る前に、秋田でしかできないことしたいと思ってたんですよね。例えば秋田でエベレスティングを達成することとか。
僕は試験から、解放されました。解放されたんですよ。もう俺を止めるものは何も無い。じゃあ、エベレスティングやるか。一発デカいの決めようぜ。
場所は、以前から構想していた秋田市大森山です。市街地にある小さい山で、動物園や電波塔なんかがあって、秋田県民なら誰でも知ってる山ですね。
準備
事前の準備でやったことは主に以下の6つ。
- 補給食の準備
- ルートの選定、セグメントの設定
- 登坂回数の計算など
- 装備・機材の準備
- 良く飯を喰らう
- 応援しに来てね!ってみんなに言う
補給食の準備
今回は、エベレスティングのルート中にベースキャンプを設けて防寒着や補給食、装備・機材を置きます。普段のサイクリングでは重しになるので大量に持ち歩いたりできない補給食ですが、今回はベースキャンプに置いておくことができます。
ルート途中にコンビニもあるのですが、事前に買い込んでおくと「コンビニに無いものを用意できる」「コンビニより安価に準備することができる」などのメリットがあります。それで、薬局で大量に買い込んでおきました。内容は上の写真の通りです。
- ゼリー:ガッツギアは市販薬局で売ってるゼリーです。熱量は200kcalあるのでinゼリーの180kcalよりも高く、なおかつ価格もinゼリーより安い、良コスパゼリー。
- アミノショットジェル:薬局で売ってるジェルです。スポーツ用ジェルの中では安い方だと思いますが、それでも僕にとっては課金アイテムです。食べると何でか知りませんが調子が上がって踏めるようになります。ゴミが散らばらない素晴らしいパッケージになっています。
- 粉飴:マルチデキストリン、糖です。水に溶かすエネルギー。一包50kcalなのに砂糖の約1/8の甘さで、非常に飲みやすいです。胃腸が弱っても摂取できる。
- BOOST SHOT:日本縦断ギネスの落合さんが飲んでいたエナドリ。ようわからんですが、サイクルショップタカハシで「奢ってやるから達成せぇ!」って言われました。本当にありがとうございます。
- Way to goクッキー:これもよう分かりませんがサイクルショップタカハシで頂きました。こりゃもう達成できるやろ。
- バターピーナッツ:バタピーはカロリーの高い補給食として有名です。
- その他、ビタミンや胃腸を整えるヨーグルト。消化不良対策。
ポイント:ビッグカツを食べて、大森山に勝つ
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ルートの選定・セグメントの設定
そもそも僕は登りが苦手です。でも距離を走るのは得意なので、勾配は緩く、距離で戦おう作戦で行きます。
ルートはローソン新屋日吉町店~大森山頂上です。途中、曲がり角が3つもあってコースとしてはあんまり良くない例かもしれません。ただ、コンビニを起点にしてコンビニに寄れるようにするってだけの作戦です。距離1.95km, 標高差77m, 平均勾配3.9%, 最大勾配11.3%です(ストラバ調べ)。展望台駐車場にある公衆トイレ横の東屋的な場所を、ベースキャンプとします。
エベレスティングは、ストラバのセグメントを指定して認定されます。自分が走るコースのセグメントを作りました。認定の際に併記されます。セグメントの標高差が直接認定の標高に関わるとかでは無いはずです(私はサイクルコンピュータの記録標高で認定されたので)。
ローソン-大森山ピークhc | Strava Ride Segment in Akita, Akita, Japan
登坂回数の計算など
これがなんかちょっと厄介というか良く分かんなかったんですよね。単純に計算したら、エベレストの標高8848(m)÷登坂標高76(m)=116.4回なんですよ。でも、(公式)エベレスティングカリキュレーター ( CALCULATOR - EVERESTING ) で計算すると97.7回って出てきますし、ルート作成御用達サイトRide with GPSで引いてみると119.5回の計算になります。うーんエベレスティングカリキュレーターって公式で出てるはずなんだけど値がだいぶズレてるな。"Data with a "saw-tooth" profile will return a false elevation gain"(ノコギリ刃状のプロファイルを持つデータは違った標高差を出力します)の表記があるのでアテにしなくて良いんだろうか????それに、認定自体はストラバ基準のデータで認定されるみたいです。
ストラバ基準で登坂1.92(km)×117回=224.6(km)、でもエベレスティングカリキュレーターは総距離375.3kmをはじき出しています。どっちも走れる距離だけど、差があるなぁ…
うーん。わかんね。標高計が8848mを超えるのを第一目標にして、とりあえず走ってみるか。第二目標に117回の登坂。そうしよう。
装備・機材の準備
10月も末なので、普通に寒いです。それに、もし375km走ることになれば徹夜です。様々な防寒着を用意しました(結局足りなかった)。予備チューブはもちろん予備タイヤ、普段のサイクリングには持って行かないような修理工具など、ベースキャンプに置いておけるものは全部持ってきます。予備バッテリーも忘れずに。
特筆した装備は、防寒シューズカバーや防寒テムレス、ミレーのドライナミックインナー、ゴアテックスジャケット、反射ベストなどです。
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自転車からはたくさんのものを外しましたが、度を越えた軽量化はしませんでした。道交法に則って前後ライトとベルは付けます。あとは最低限のパンク修理キットと、登坂回数を数えるための百均カウンターをハンドルに付けました。
徹夜で一つの坂を何度も往復するだなんてやってることは完全に不審者です。道交法はしっかり守って、轢かれないように夜は反射ベストも付けます(実際に警察の巡回が3回、走り屋に1回出会いました)。通報されないと良いなあ。
良く飯を喰らう
ごはん食べます。とは言ってもカーボローディングなんかは別にしません。エンデュランススポーツでは良く聞く「カーボローディング」、食事で糖だけしか摂取しないことにより内臓だけでなく筋肉内にもグリコーゲンを蓄えて体内のエネルギー貯蓄量を1.5倍程度まで増加させる手法です。プロロードレーサーなんかは、一週間ぐらい塩とパスタしか食べないらしいですね。僕は以前、ごはんでこれやったんですが消化不良になってパフォーマンスが下がり、あんまりうまく行きませんでした(ちなみに160kmぐらいは無補給で走れたのでカーボローディング自体はうまくいったのかもしれません)。なので、今回はやりません。いつも通りの食事をしっかり食べて、当日の朝や前日の夜だけはドカ盛りにしました。
応援しに来てね!ってみんなに言う
友達や知り合いに言いまくります。「俺明日大森山120回ぐらい登るから応援しにきてくんね」みたいな。反応は様々です。情報量が多いので思考停止する人。回数を聞き返す人。笑う人。「ん?」「は?」「数バグってね?」など。Facebookに告知してくださった方もいらっしゃいました。なんか祭りみたいになってきて僕はビビってたんですが。
暇な友達も、暇でない友達も遊びに来てくれました。一度しか会ったこと無い社会人の方なんかも、差し入れを持って来ていただいたり、トレーニングやサイクリングがてら大森山に来てくれた人も何人かいました。午前二時に来てくれた人とか、一日中付き合ってくれた人とか、出身地元のチームの人とか、ライブカメラで観察していてくれた人とか。いやーみんな遊びに来てくれて楽しかったな。ほんとにありがとうございます。
次記事、実走編
次の記事で、実走レポートになります。いろんな人が訪問してくれた楽しい写真がいっぱいの記事になります。長いですので、時間のある時にでもどうぞ。